LSIチップのESD破壊とは?
例えば人間の手も静電気が帯電していることがあります。そのような手でLSIのチップに触れた場合、想定外の高電圧が、電極パッドなどから内部回路にかかり、回路が破壊されることがあります。
このような外部から意図しない高電圧がかかり、壊れることをESD破壊といい、内部回路にはそれらに耐えるべく工夫がされています。
LSIチップにおけるラッチアップとは?
LSIチップの実際は、半導体の基板の各場所に、絶縁処理、n型の不純物のドーピング(打ち込み)、p型の不純物のドーピングの濃度の調整等により、意図した電気的特性を奏するよう制御します。
意図した電気的特性とは回路シミュレータで計算した通りの特性です。
回路シミュレーション(spice)ではトランジスタなどをモデル化したものに対して、計算を実施して、それをグラフィカルに回路図や波形として表現しています。
ですが半導体の基板の上の想定しない箇所で、例えばトランジスタとして動作が発生し、想定した個所のトランジスタより支配的になる場合があります。
簡略するとこのような想定外の動作により大電流が流れるのがラッチアップです。
LSIチップにおけるリーク電流とは?
リーク電流とはラッチアップと似ていますが、意図しない電荷の移動が発生し、無駄な電力消費につながったり、設計通りの動作を妨げる要因となる電流です。
設計通りの動作とは回路シミュレータで計算した通りの特性です。
回路図と回路シミュレーションでどこまで想定して設計できるのか?
回路シミュレーションの結果は何に対して、どのような計算を実施した結果でしょうか。
そのような観点で考えると、ESDやラッチアップやリーク電流という半導体設計全般において重要な要素は考慮されていないことがわかります。
回路設計はLSIチップの要部ではあるが、それ以外にもきちんとした製品や試作品を製造するには検討すべきことはあるということです。
通信教育では回路シミュレーションまでの設計を行いますが、数値結果や表向きの理論だけを考えずに、いつも今何をしているのかという観点で本質を考え続けることも、理解に大きく役立ちます。
シーモスの回路設計CAD通信講座における位置づけ
シーモスの通信講座では回路シミュレータによる回路設計を主に行いますが、実際の製品設計において直面する様々な問題にも言及しております。知識として持っていると非常に役立ちます。